5.白昼夢
「はぁ…はぁ…はぁ」 姿は見えないのに足音だけが追いかけてくる。 恐怖を覚えて私は必死に逃げいた。 突然、廊下が途切れ、そのまま続く断崖絶壁。 足を止めると後ろの足音もやんだ。 恐る恐る後ろを振り返ると…。 「キャー!!」 スパン!! 思い切り、教科書で頭を叩かれた。 「てめぇ、人の授業で寝るとはいい度胸じゃねぇか」 「ち…筑前先生…」 「罰として、15ページから最後まで音読」 「最後までぇ!?」 クラス中から笑いが起きる。 しかし、その笑いも筑前先生の一睨みで消えた。 「次寝たやつは教室からほうり出すぞ」 「先生…」 「あ?」 「ここで寝てるやつが…」 つかつかとその生徒の前に行く。 クラス中が固唾を呑んでその様子を見守った。 「てめぇはいつまで寝てる気だ」 言い終わると同時に教科書でその生徒の頭をはたいた。 その生徒が起き上がり、先生を見て一言。 「わぁぁ!!ママが筑前先生になった!!」 「寝ぼけてんじゃねぇぞ、てめぇ」 さらに一発げんこつが追加されたのだった。 |