8.天気予報
「昨日の天気予報見た…?」 「見たけどね…」 「私も見たんだけどね…」 二人同時に大きく息を吸い込んだ。 「「どうして雨が降ってんのー!!」」 二人の叫び声が校庭にこだました。 「昨日さ、降水確率20%だったよね!?」 「そうそう!!それを信じて学校に来たのに何で下校時間ぴったりに!?」 「傘持ってないから!!」 「こういう時ばっかり折り畳み傘は入ってないし…」 「濡れて帰る?」 「徒歩30分よ?」 「風邪ひくね…」 「でしょ?」 二人以外の生徒は次々に傘を取り出し、雨の中帰っていく。 「待ってみる?」 「止みそうに思いますか、あなたは」 「…思いません」 「…お前ら何やってんの?」 二人が振り返るとクラスメートの男子が傘を片手に立っていた。 「けっ…こいつも傘持ってやがる…」 「やさぐれないでー!!」 「そんなこと言ったって、言いたくなる気持ちは分かるでしょ!?」 「そういう時は心の中で『風に吹かれてだめになってしまえー』って思ってればいいじゃない!!」 「傘忘れたわけ?」 「「そうよ!!」」 男子がカバンに手を突っ込み折り畳み傘を出した。 「貸してやるよ」 「いいの!?」 「もう一本あるからな」 「やったー!!」 「ありがとう!!あんたは天使だ!!いや女神だよ!!」 「"め"はつけるな」 「神様ー!!ありがとー!!」 「ありがとう!!」 二人が雨雲に多い尽くされた空に向かって叫ぶ。 「感謝するのはこっちだろ!?」 |