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犀雅国陸軍軍事記録
第1話 朝比奈大佐の軍部日記


○月△日

 今日も何事もなく軍は平和です。と一度でいいから書いてみたい。またいつものように上田上等兵が兵長とけんかして兵長を全治二週間の病院送りにしたそうです。彼は何人病院送りにしたら気が済むのでしょう?この前も酒場で…。こんなこと書いていたら本人が来ましたよ。
「大佐、今日はもう帰っていいですか?」
 けんか後なのか口が切れて血が出ていますよ。
「上田上等兵。それはあなたの隊の兵長に聞くべきことですよ。まあ、兵長入院中だから柳中尉に聞いてください」
 タイミングよく柳中尉が壊しそうな勢いでドアを開けた。…中尉ドア壊さないでくださいね。
「大佐!上田上等兵来ませんでしたか?」
 中尉がドアを開けた拍子に頭をぶつけ額から血を流す上等兵を発見した。上等兵の石頭でドアが壊れないか心配です。
「上等兵!またけんかしたでしょう!罰を受けたくなかったらさっさと仕事に戻りなさい!」
 上田上等兵が無言で助けを求めているがここは上官らしくする事にします。
「上等兵。あなたがけんかばかりするのが悪いのです。中尉の言うとおりにすることですね」ニコッ!おっと本性が。
「…これだから将校は威張り腐ってていやなんだ」
 中尉が何か言おうとしていますが私が言ってしまうことにしましょう。ここまできてしまったら猫かぶってられなくなってきましたから。
「黙れ。軍をやめさせた上で軍事裁判にかけられたり、行く所行く所で陰口を叩かれたくなかったらその口を閉じてろ」
 あっ本性丸出しですね。
 その時隣に寒いぐらいの気配が!!…三浦一等軍医正でした…。
「三浦一等軍医正…今どこから入ってきたんですか…?」
「そんなことは気になさらないでください。朝比奈大佐」ニコッ!
「誰…?」
「上等兵知らないんですか!?あなたが病院送りにした人の三人に一人が彼女の担当ですよ。軍人階級にすると中佐ぐらいの地位です。口答えすれば簡単に首が飛びますよ。…違う意味でも」
「軍医、何をしに来たんですか…?」
「あら、大佐をお食事に誘いに」
「冗談はやめてください…。本気でも今日はエミリーと約束が…」
 私にエミリーなんて知り合いはいません…。
「何で大佐のほうが偉いのにあんなに腰が引けてるんですか?」
「本当に知らないのね…。彼女は白衣の悪魔と呼ばれているんですよ。彼女の患者は病が治った後彼女の実験台と化すのです。上田上等兵も早く仕事に行ったほうがいいですよ」
 軍医と私の会話に戻ります。
「もちろん冗談よ。こっちのほうで血のにおいがしたから来てみたの」
 恐るべし白衣の悪魔の嗅覚。1km先のにおいまでかぎ分ける…。
 三浦一等軍医正、額と口から血を流している上田上等兵を発見。ニヤッと笑い上等兵の軍服の襟を掴み引きずっていく。…上田上等兵の悲鳴が聞こえた気がするが自分が大切なので無視です。
「…大佐。日記書いてないで仕事してください」
 窓の外に相模大総統が!
「大総統何か御用ですか?」
「いや、二日後の会議の書類昨日もって来る約束だったのに持ってこないからさ」
 ……!!
「忘れてました!!会議の書類ですよね?今日中に…会議?あ、え…そういえば、大総統今の時間軍事会議じゃ…」
 じゃあと言って大総統は逃げました。大総統なのに平和主義なので軍事会議が嫌いらしいです。私は大総統を追いました。逃げ足が速いんですよ…。
 中尉が何か叫んでますね。
「大佐!!仕事しろ!!」









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