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犀雅国陸軍軍事記録
第6話 犀雅国陸軍密偵作戦3


 パーティーが催されるホテルの前に白い乗用車(大佐の私物)が到着。廊下で三浦軍医に拉致され運転手をさせられているスーツの上田上等兵が降りてきて後ろのドアを開けた。中から大総統から借りたスーツを着た朝比奈大佐が春色のイブニングドレスを着た三浦一等軍医正をエスコートして降りてきた。
 二人を送り届けた上田上等兵は運転席におさまると再びエンジンをかけ車を駐車場に入れ一服ついた。すると、後ろから女の声が聞こえ振り向いた。
「聞こえませんでした?私の前でタバコを吸うのはやめてください」
「!!…ビックリした。いたのかよ?いたんならそう言ってくれよ」
「上官には敬語で話しなさい」
「…はい。何でいたんですか?中尉、仕事はどうしたんですか?」
 助手席までやってきて柳中尉がにっこりと笑った。
「これが仕事よ。大総統から二人だけだと心配だからサポートの回れと指令があったわ」
「サポート?どうやって?」
「これよ」
 中尉が出したものに上等兵は納得した。でも俺も巻き込まれるのか…。当たり前ですと言いたげに中尉が上等兵の笑いかけた。






 その頃大佐と軍医は…。
 パーティー会場にいました。大佐は緊張をほぐすためと一気飲みしたワインで心なしか足元がふらついている状態。軍医は「しっかりしてください」と他の人に聞こえるように言いつつも大佐にしか聞こえないようにいろいろ言っている。
「シャキッとしないと注射打ちますよ。夫婦らしくするのに夫役がこんなにヘロヘロじゃあばれますから。それとも今夜も私の実験に付き合ってくださるんですか?新しい薬を開発いたしましたの…」
 実験室行きは大佐もごめんだったのでできる限りシャキッと立派に見えるように歩いた。
 中心のほうまで歩いていくと今回の目的であるマフィアのボスがワイングラス片手にパーティーの客と話していた。さてどうやって相手を信用させようかと大佐が考えていると、マフィアのボスが話していた客と別れ、また違う客に話しかけようとしている。
 その時、三浦軍医が大佐の腕を振り解き(三浦軍医が大佐が逃げないように捕まえていた)全速力でマフィアのボスのところまで走っていった。そして走ってきたということを完璧に隠してマフィアのボスに話しかけた。
「素敵なスーツですね」
「ええ、特注品でしてね。あなたも商人なんですか?」
「いえ。あそこにいる冴えない男の連れですわ」
 軍医…夫婦設定完全に無視してますよね…?







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